<おばぁちゃんの草餅>
よもぎ草を見つけると懐かしく思い出すことがあります。
春の日差しが温かくなったころ、土手や野原によもぎ草がたくさん生えるところが会った。
昔はどこのお宅でも、この時期になるとよもぎ草(茎が伸びていない若葉)を摘み、餅にして食べていました。
私の田舎ではよもぎ草を餅草と呼んでいます。今だったら犬を連れて散歩をしている方が多いので摘めないでしょうね。
小学生の頃、よもぎ草が生える季節の日曜日、おばさんに連れられて布袋と包丁を持って摘みにいったものです。
家に帰り、それを新聞紙に広げ、きれいにゴミを取り除きおばぁちゃんに渡します。きれいに洗ってから大きな鍋で湯がき、
水にさらしておきます。それをざるで水を切り、大きな手でギュッ、ギュッと絞りすり鉢に入れます。
私は、すり鉢の縁を動かないように体全体で力を入れて押さえ、おばぁちゃんはよもぎの形がなくなるまですりこぎ棒で
擦ったり、つぶしたりします。ジューサーがあったらすぐできたのに、あの時代は便利なものはなかったような気がする。
もち米を蒸かしてうすに入れ、杵で父がつきます。餅のなったところでよもぎを入れ、また尽きます。
真っ白だった餅が、見る見るうちに真っ青になり,その餅をひとつ、ひとつ丸めて草餅にします。当時は砂糖ときな粉、塩少々
を混ぜてつくっておきます。それにつけながら食べていました。今では、中にあんこが入って売られていますが、よもぎの風味がないのが寂しいですね。
母が元気なころは、毎年草餅と香ばしいきな粉を添えて送ってもらっていたのですが、、ここ数年はありがたいことに、
母からバトンタッチでおばさん(母の妹)が送ってくれます。今年も口いっぱいに広がるよもぎの風味を噛みしめながら
草餅をいただくことができました。